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ケルトの薄明

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 標題の作品は、1923年にノーベル文学賞を受賞したアイルランドの偉大な詩人ウィリアム=バトラー=イェイツの作品というか随想集とでも言うべきでしょうか。書評などを見ると、「アイルランド版遠野物語」などと紹介している向きもあるようですが、両書を読めば分かるとおり、それはあたっていません。
 本書は1893年、イェイツ28歳の折に発刊されたもので、詩人としての名声を得る以前の著作です。内容は、イェイツ自身がアイルランド各地を巡る、或いは伝を通じて様々な人々に話を聞くなどして蒐集した民話や民間伝承、或いはそのどちらとも言いがたい様な、19世紀末頃のアイルランド民衆の精神世界とでも言うべきものです。そこには、多様な妖精や地霊などの霊的、あるいは超自然的な存在がごく普通に登場し、我々人間の生存する領域のすぐ隣に彼らの住む世界が接していることがうかがわれます。こののち暫くして、イェイツはオカルティズムに傾倒し、後年になってもその傾向が失われる事はありませんでしたが、それが幼少から青年期にかけての島のケルト民族がもつ精神世界による影響なのか否かはわかりません。
 しかしながら、当時のケルトの人々がいわゆる幽界(かくりょ)の存在を強く認識していたことは間違いないことでしょう。妖精たちの住む世界であるティル・ナ・ノグはそのまま常世に通じますし、常世に行って再び戻ってきた人々がいる様に、妖精達の元から現世に帰還する人間も存在します。ただし、平穏に余生を送れるかどうかは、浦島太郎しかり、フィン=マックールの息子オシーンしかりではありますが…。それなのに、我々人間の生活する現世と霊的な存在の暮らす幽冥界の距離の近さはまことに不可思議であり、この世のすぐ裏側(ひょっとすると表側?)には、時の壁によって厳然として隔てられた別の世界があるというその考え方は、果たして何に起因しているのでしょうか。
 イェイツがこの様な著作をものしたのは、その答えを求めた末のことなのかも知れませんし、後年氏が多くの詩作や創作によって追及したのも、その答えを探し続ける道程であったのかも知れません。


ケルトの薄明

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