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亀石

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 国内に存在する様々な石造の遺物の中でも、おそらく最も有名なものの一つが画像の亀石ではないでしょうか。
 いまや明日香観光の代名詞的な存在であるこの石も、以前訪れた際には田んぼの畦道の様な細い通路脇にちょこんとある姿が何とも言えずユーモラスで味があったのですが、非常に久し振りに(どのくらい久し振りかはご想像にお任せしますが)訪れてみたところ、やたらにゴテゴテと柵や生垣に囲まれ、横にはなにやら売店もあり、写真を撮ると周囲の住宅が写り込んでしまうと言う仕儀に至っておりました。
 まぁ、風情が失われてしまったことについてはとやかく言いますまい。そんなことよりも、これほど人口に膾炙しかつ観光資源として利用されているにもかかわらず、相変わらずこの不思議な石造物の正体については一向に研究と言うか解明と言うかが進んでいないことの方が気になるところです。近年、皇極(斉明)帝の手になると推測される亀形石造物の出土や、キトラ古墳の石室内部に鮮やかに描かれていた玄武の発見など、ここ明日香の地における亀に関する古代信仰の手掛かりが少なからず明らかになりつつあるのではないかと思うのですが、どうもそれらとこの亀石が結び付けられて考察されているようではなさそうですねぇ。
 ここからは例によってY.E.Hの勝手な想像ですが、画像の亀石を見て『亀の顔だ!』と直感的に感じる人はそう多くないのではないでしょうか。実際に多くの方が『目玉が飛び出ていて蛙の顔のように見える』と言っておられるくらいですので、『亀石』と言う名前から入らなければ亀よりも蛙を連想する方のほうがひょっとすると多数派なのでは…と思います。なので、これは実は蛙である、と言う前提で少し想像を逞しくして見たいと思います。その昔から、土俗の信仰として多くの生き物がその対象とされてきましたが、わが国においても稲作の普及とともに田の生き物に対する信仰が定着していきました。中でも蛙は、中国からもたらされた蟾蜍(ヒキガエル)信仰の影響もあり、特にその地位を認められていたものと思われます。因みに蟾蜍の信仰とは、いわゆる嫦娥が西王母の霊薬をこっそり盗み飲んでしまい月に昇って蟾蜍と化した…という伝説がその基となっており、月において西王母の霊薬を搗いているとされる月兎の信仰はさらにその後の事となります。
 ただ、これだけではこの巨石の説明としてはいささか心もとないのですが、蛙にはもう一つ別の神性が存在します。それは所謂猿田彦信仰において、蛙が猿田彦命の神使とされていることです。猿田彦命は、これもまた天孫降臨神話はもちろん塞神信仰とも同一視されるように、境界神としての属性を備えています。すなわち、この亀石は田の守護神としてだけではなく、この地域或いは集落の境界(または現在推定されているように川原寺所領または条理の境界)を守る守護神としてここに据えられていたのではないかということです。また、石の横や後方に回ってみると加工の痕跡が残っているのが分かりますが、それらはもともと外からは見えていなかったのではないか、つまり、今でこそこんな格好をしているので亀石と呼ばれていますが、もともとはこの顔の下に足がついており、良く見かけるあのヒキガエルが顔を上げたポーズだったのではないでしょうか? それではなぜ、今のようなポーズになってしまったのか? それはおそらく大きな動乱や或いは境界争いなどによって前足部分が毀損されて、平伏するような(=相手に屈服した姿勢)ポーズに無理矢理されてしまったのではないか…などと想像してみるわけです。この亀石が、こんなユーモラスな姿なのに当麻の蛇との争いに負けたこと、そしてこの石が当麻のほうを向くと大和一帯を泥の海に沈めてしまうという怨念の篭った伝説とともに語られるのは、そう言った歴史的な背景があるからなのではないかと思うのです。
 そんな風に見てしまうからなのでしょうか、Y.E.Hにはこの亀石の表情がどことなく哀し気にも見えてしまうのですが…。


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